クレカのイロハ

はじめまして。ネットソリューション部の綾木です。

普段何気なく使っているクレジットカード。
ふと、疑問に思ったことはないでしょうか?
なぜプラスチックの板で現金なしに買い物が出来るのか。
なぜ番号を入力するだけでネット上で決済が出来るのか。

考えてみれば、最も身近かつ高度なシステムと言えますよね。
今回はその仕組みの解説とともに将来の展望まで予測してみたいと思います。

■どうやって成立しているの?

今や国内で発行されているクレジットカードはなんと3億2千万枚以上。
単純計算で一人当たり3枚程度所有している計算になります。
近年ではネットショッピングの普及が利用者増加の起爆剤になったと言われています。
単純な決済額だけを見ても、国内の個人消費の4分の1を占めるほどになりました。
それは、規模の大きさに比例して以下のⅠ.~Ⅲ.の要素がより強化されるということです。

Ⅰ.信用力・・・多くの消費者が利用している仕組みであること
Ⅱ.資本力・・・流通している貨幣より多額の決済ができること
Ⅲ.利便性・・・現金と遜色なく多くの加盟店で利用できること

“信頼”と”実用性”を得たクレジットカードは、今後ますます貨幣と同等以上の役割を担うことが予想されます。

■信頼と利便性の三角形

では、クレジットカードを使うと一体誰がどのようなメリットを受けることができるのでしょうか?
ステークホルダー(利害関係者)の関連について図1~図3にまとめてみました。

[図1] カード決済の関係
カード決済の関係
[図2] メリットの関係
メリットの関係
[図3] マネーの関係
マネーの関係

カード会員にとっては「利便性」「決済の猶予」がメリットとして挙げられます。
また信用情報を元にお金を借りることが出来る「与信枠」(キャッシング)についても広く一般に浸透しています。

加盟店にとっては「顧客の獲得」「決済リスクの回避」が戦略的なメリットといえます。
特にカード会社による決済の保証が行われるため、公共料金などを徴収する企業・団体では支払方法の選択肢として積極的に導入する例が増加しています。

カード会社にとっては「金利・手数料」という形によって利益を上げることができる構造です。
より多くの会員に、より多くの決済を行ってもらうために、契約者への様々なキャンペーンを展開するとともに、それらを支える設備投資も継続的に実施されています。

これらの仕組みにより三者三様に相互のメリットを追求できることが、システムの発展に繋がっているのです。

■本当にWin-Win?

家電量販店などでクレジット支払いを行った場合、還元ポイントが現金と比べて減ってしまった……なんてことはありませんか?
加盟店の立場としては、現金払いに比べてカード会社に加盟料・手数料を支払った分だけ売り上げが減ってしまいます。
そこで、手数料に相当する分のポイントを調整することで売り上げを確保しているのです。

また、小売販売店などではクレジット支払いが不可になっている場合があります。
これは各種コストもさることながら、「決済の先送り」によって資金の操業が難しいケースがあります。

店舗側は顧客獲得の機会と売り上げの確保を両天秤にかけなければいけないのです。

■おわりに

冒頭で「なぜクレジットカードは現金と同様に扱われるのか」と言及しました。
それは社会的な信用をバックに経済活動を発展させていく、という側面を考えると
「なぜ貨幣は物々交換と同様に扱われるのか」という問いと等価であると言えます。
今日では、それらを区別することにあまり意味はないのです。

今後全く新しいビジネスモデルや決済方法が登場するかもしれません。
もしくは仮想通貨が生活の基軸として扱われる日が来るかもしれません。
システムエンジニアとしてどういった形で関わっていけるのか。
個々人で考慮すべき技術や課題はまだまだ沢山ありそうです。